遺産分割協議の話合いがまとまらないケースは非常に多いです。
よくある原因は以下のようなものです。
- 相続人の間で感情のもつれがある
- 相続人の中に前妻との子どもや認知された子がいる
- 相続人の人数が多すぎる
- 相続人の中に連絡がつかない人がいる
- 遺産を隠している、独り占めしている相続人がいる
- 遺産の使い込みの可能性がある
- 遺言書などがない、遺言はあるが無効の疑いがある
- 遺産の全貌がよく分からない
- 遺産の中に不動産がありその分け方が難しい
- 故人の介護をしていた人、していない人など立場が違う
- 率先して遺産分割協議を行おうとする相続人がいない
特に親族間で感情のもつれなどがある場合、どうしても話し合いに決着がつかず、いつまでたっても遺産分割協議が整わないということもあります。
そのような場合、裁判所を利用することで解決することになります。
裁判所での話し合いは、2段階に分かれます。
第1段階 家庭裁判所で遺産分割調停(いさんぶんかつちょうてい) |
それでもまとまらない場合は、
第2段階 遺産分割審判(いさんぶんかつしんぱん)で「決着」 |
遺産分割調停ってどんな感じ?
- 裁判所で行われるものですが、あくまでも話し合いの延長といったイメージで、融通が利きやすくなっています。
- 遺産分割についてだけでなく、前提となっている問題についても話し合うことができます。たとえば、遺産の範囲や特別受益や寄与分についても話し合うことができます。
- 相続人全員が合意していれば、法定相続分とは異なる遺産分割を行ってもかまいません。
- 代償分割や換価分割を含め、柔軟に分割方法を決めることができます。これに対し、遺産分割審判では、相続人が代償金を用意できない場合、有無を言わさず競売による換価を命じられることがあります。
- 調停は1~2か月に1回あり、1回あたり1~2時間の話し合いが行われます。調停が成立するまでの平均的な期間は1年弱です。
遺産分割審判ってどんなかんじ?
- 裁判官が職権で証拠調べや事実の調査を行い、判断するものですので、一般的な裁判と同様、手続も厳格なものになります。
- 相続人や遺産の範囲、特別受益や寄与分の有無など前提問題に争いがある場合は、別の申し立てをしたり、別に訴訟をおこしたりしなければなりません。
- 遺産分割審判では、基本的に法定相続分どおりに遺産分割が行われることになります。
- 今ある遺産をお金に換金し、それを分けるという決着になった場合、不動産などの売却が避けられないことも…
- 審判は通常1回で終わることはなく、審理が終わるまで何回か審判期日が設けられます。調停と審判を合わせて6~10回程度の期日で解決するケースが多くなっており、トータルで1~2年程度の期間がかかるのが一般的です。
遺産分割調停や遺産分割審判は、裁判所での手続きとなります。
法律的に専門性の高い分野となりますので、弁護士に依頼しましょう。
調停や審判をしない場合はどうなる?
遺産の分け方が決まらない限り、遺産を受け取ることは永遠にできません。