遺産分割協議は弁護士に依頼するのが最も安心・安全
結論から申し上げて、遺産分割協議は弁護士に頼むのが最もベストな方法です。
以下で理由を説明しております。
遺産分割協議は自分でできる?
遺産分割協議及び、そこで話合った結果を記録する遺産分割協議書の作成は、専門家に依頼せずに相続人ご自身で行うことも可能です。ただし、遺産分割協議書の記載内容に少しでも誤りがあったり、必要事項の記載漏れがあったりすると、相続登記などの遺産相続手続に支障を来すことがあります。また、しっかりと法に則った手順や方法で進められていなければ、例えば数年後、分けた遺産に何らかの問題が見つかった場合、責任を問われることもあります。遺産分割協議、遺産分割協議書の作成は、不備がないよう専門家のアドバイスをもらいながら進めていくのが最も堅実なやり方です。
遺産分割協議はどこ相談するべき?弁護士?司法書士?行政書士?税理士?
遺産相続に関する業務を行なっている業種は主に、弁護士・司法書士・行政書士・税理士と4種類あり、どこに相談すればいいのか迷ってしまう方も少なくないのではないでしょうか?
結論から申し上げて、遺産分割協議に関することは「弁護士」、中でも「相続の得意な弁護士」に依頼するのが最も安全で安心です。
遺産分割協議で揉めないための予防策としても
遺産分割協議とは、実は協議の進め方に決まった方法が無く、それゆえ揉める要素を多分に含んでいるかなりデリケートなものです。しかも赤の他人ではなく、肉親などの親族間で話合いを行うため、一度揉めてしまうと、それがきっかけとなって、その後の親族関係が険悪になってしまうことが往々にしてあります。
親族間での話し合いはつい感情的に口論になってしまったり、もしくは逆に親戚関係に気を遣うあまりはっきりと主張ができず、後々トラブルになったりします。
親族同士でのデリケートな話し合いには冷静なプロの第三者が介入することで話し合いを平和に穏便にまとめることができるでしょう。
遺産分割協議は、揉めてから弁護士に依頼するのではなく、揉めないためにまず弁護士に依頼するとよいでしょう。
遺産分割協議で少しでも揉めそうな場合は早急に弁護士へ相談
遺産分割協議はどうしても遺産の分割の仕方で話合いがまとまらないときには、最終的に
裁判所にて「遺産分割調停(いさんぶんかつちょうてい)」を、それでもまとまらない場合はさらに「遺産分割審判」(いさんぶんかつしんぱん)を利用するしか解決する方法はありません。
→詳しくは「遺産分割の流れと注意点」
万が一、交渉でまとまらず調停や審判にまで及んだ場合でも、弁護士は法律のプロですから、最後まで安心して一式丸ごと任せることができます。
遺産分割協議から調停・審判に発展するなんて、うちはそんな大袈裟なことにはならないだろう、と思っている方は非常に多いのですが、残念ながら統計では「家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち認容・調停成立件数」を調べてみると、年間で8000件を越える事件総数のうち、遺産の価額別にみると遺産額が1000万円以下の事件件数割合は33%、さらに5000万円以下になると全体の75%となっており、遺産額が億単位などでなくとも、相続人は非常に揉めることが多いことがわかります。家庭裁判所での遺産分割事件の件数とは遺産分割協議で揉めに揉め、家族間で話し合いのつかなかった事案の集まりです。つまりは、いわゆる裁判沙汰にまで発展してしまうのは他人事ではありません。
また、遺産額が1000万円以下であり、遺産が不動産だけである場合の事件の割合は45%、さらに1000万円超5000万円以下のときは22%となっていて、結論として、不動産だけの遺産相続においては、遺産額が少ない方がより争いが起きる傾向が見受けられます。
「遺産額はそんなに多くはないが、遺された不動産がある」というタイプが実は最もトラブルになりやすいのです。(平成28年司法統計)
弁護士は代理人になれる
調停や審判に発展した場合にも、弁護士は相続人の代理人となって、他の相続人との協議や和解をすることが法律で認められているため、最後まで皆さんの相続案件に関わることができます。
弁護士には「代理権」がありますが、税理士や司法書士、行政書士には「代理権」がありません。(弁護士法第72条)
代理権とは、他者との交渉をする代理権と全ての裁判手続をする代理権です。
弁護士には、この2つの代理権があるため、当事者の代理人として遺産分割協議を進めることができますし、裁判所で遺産分割調停や審判を進めることができます。
相続放棄や限定承認の申述、遺言書検認の申立なども「代理人」として行うことができます。
遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)をするときだけではなく、侵害額請求をされたときにも弁護士に依頼して代理人になってもらい、相手と交渉してもらうことも可能です。
また、裁判手続の代理権つまり「訴訟代理権」を使えば、遺言書はあるが妥当だとは思えない場合など、遺言は無効であると主張し、訴訟を起こすことも可能です。
(近年、司法書士には簡易裁判所での代理権は認められてはいますが、それ以外の家庭裁判所、地方裁判所等での代理権は依然として認められておりません。しかも、遺産分割の調停や審判は全て簡易裁判所ではなく家庭裁判所で行われるため、もとより介入できません。)
「万が一、最終的に家庭裁判所に申立てを行った場合、どのような結論になり得るか」まで見通した上で、ありとあらゆる可能性を考慮しながら遺産分割協議を進めることは弁護士にしかできないのです。さらに当事務所では、あくまでも弁護士がご案件全体の指揮を取った上で、提携している税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続対策チームが万全の態勢でついていますので、不動産の売却などの専門的な手続きが急遽発生したときも、全てを丸ごと任せられて安心です。
少しでも協議に不安要素のある場合、法律の専門家である弁護士に依頼することが有益です。
<参考>弁護士と司法書士・行政書士・税理士の違い
相続は、法律だけではなく税金や不動産・金融、行政手続など幅広い知識が必要になるため、様々な専門家が関与することになります。
図でもわかるとおり、相続に関して司法書士・行政書士・税理士が行うことが認められている手続きは基本的に全て、弁護士も同様に行うことが許可されています。さらには司法書士・行政書士・税理士は行うことが法律上許されていない手続で、弁護士のみに行うことが許可されている手続きが遺産相続には多く存在します。
他士業との主な業務の違い
|
弁護士 |
司法書士 |
行政書士 |
税理士 |
不動産名義変更(相続登記) |
△ |
◯ |
× |
× |
遺言書検認申立書 |
◯ |
× |
× |
× |
相続放棄申述 |
◯ |
× |
× |
× |
相続人調査(戸籍調査) |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
相続財産調査 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
遺留分侵害額請求 |
◯ |
×(通知書の作成と発送だけなら可能) |
×(通知書の作成と発送だけなら可能) |
× |
代理人として他者と交渉 |
◯ |
× |
× |
× |
遺産分割調停の代理人 |
◯ |
× |
× |
× |
遺産分割審判の代理人 |
◯ |
× |
× |
× |
遺産分割協議書作成 |
◯ |
◯ |
◯ |
△ |
相続税の申告 |
税理士資格がある弁護士なら◯ |
× |
× |
◯ |
《不動産登記だけは司法書士の領域》
不動産登記のみは一般的に、相続の分野の中では唯一司法書士の専門領域です。
弁護士も不動産登記を行うこと自体は可能なのですが、基本的に「餅は餅屋に」任せるのが一般的です。
当事務所でも仙台で相続に強い司法書士事務所と提携しており、頼っている部分です。