遺産分割協議が滞りなくスムーズに進む場合は、弁護士などの専門家を入れずとも自分たちで協議を終わらせることは十分可能です。
相続人全員が自らの相続分に納得し、全員の合意のもとに遺産分割協議書を作成し、最後に全員が署名捺印をすることができれば何の問題もありません。
ただし、相続人(遺産を譲り受ける権利を持つ人)の中で1人でも、納得がいかないために署名捺印を拒んだり、そもそも話合い自体に応じなかったり、すでに相続財産の分け方で揉めてしまっている場合などは、相続がいつまでたっても法律上完了しないことになります。完了しなければ相続財産を譲り受けることはできません。
特に揉めやすいのは遺産に不動産などがあるケースです。というのも、現金などとは違い、簡単に配分できないものだからです。きっちり数字で綺麗に相続分を分けられるわけではないため、協議がまとまらなくなるケースが散見されます。
また、遺産分割協議書を作成するにも、関係各所に提出できる体裁に整える必要があったり、その後のトラブルを防止するために盛り込むべき条項があるなど、専門知識が問われる場面は多々あります。こういった問題に直面した場合は、やはり弁護士に依頼するほうがトラブルのない解決を実現できます。
遺産分割協議を弁護士に依頼した場合のメリットとデメリット
遺産分割協議を弁護士に依頼するメリットは主に5つあります。
1.手続きの代行を頼めるため時間・労力・ストレスが減る
遺産分割協議は相続人全員参加が条件となっています。遠い親族の方やほとんど面識のない親族と話し合いをしなければならない事態も時には発生します。親族間の関係に気を遣うあまり、自身の主張があまりできないまま遺産分割協議が進んでしまったり、納得のいかない相手の強引な主張を飲まされたりしていると、最終的には非常に不利な立場になってしまう恐れがあります。毎度の話合いには時間や労力も奪われるばかりでなく、精神的にもかなりストレスがかかるものです。
弁護士は、司法書士や税理士などの他の士業とは異なり、ご本人の代理人として、全ての話し合いを本人の代わりに行うことができます。依頼者となったお客様は話し合いの結果が弁護士から知らされるのを待っているだけで良いので、時間・労力の節約、ストレスの軽減というメリットがあります。
2.話し合いがスムーズに
利害関係にある親族たちの中で当事者だけで話し合っていると、つい感情的になりそれぞれの主張がぶつかり、どうしても話し合いがまとまらなくなってしまいがちです。そこに弁護士という法律の専門家である第三者が話し合いに介入することで、当事者同士の話し合いを冷静に進めさせることができるという作用があります。それぞれの主張を1つひとつ法律に照らし合わせ、客観的に事態を紐解いていくことで、話し合いを解決へと導いていくことができます。
3.最大限有利な条件で交渉をまとめられる
相続は権利関係も複雑なため、専門家でなければ見落としてしまうような権利や制度が様々あります。少しでも何か見落としがあると、後々、本人も気づかずに損をしてしまっているケースはよくあります。弁護士に依頼していれば、こうした見落としを指摘してもらえ、かつ、最大限依頼者の方にとって有利になるような条件を見つけることもできます。さらには相手との交渉に強気で臨めるようにもなります。
4、親族間の関係性の悪化を食い止める
メリット3だけを見ると「弁護士に依頼したその瞬間から相手とは完全に敵対する」という風に誤解されてしまうかもしれませんがそのようなことはありません。当事務所ではその後の親族関係などにも配慮しながら、なるべくそれぞれの心情を汲み取った、最良の落としどころを探っていくことを、まず最初に努めるようにしています。遺産分割協議が終わったその後も親族関係というものは続いていきます。どんなやり方でも相手に勝てればそれでいいというわけではない案件が非常に多いです。なるべくできるだけ”溝”ができぬよう交渉をまとめることも弁護士のなせる技の一つです。
5.将来的なトラブルを防止
例えば、遺産分割協議の話合いの終了後、その内容を遺産分割協議書にまとめる際、新たな遺産が見つかった場合はどうするのか、といった、不測の事態に対する条項も記載しておいた方がよいでしょう。弁護士であれば、こうした将来的なトラブルを防止した遺産分割協議書の作成が可能です。
当事務所では最後に遺産分割協議書を作成して終了、ではなく、その後もしっかりとアフターサポートさせていただいております。遺産分割協議書の内容を実際に実現していく過程も全てお任せ頂くことができます。
例えば相続税の納付のような税務関係の手続も併設の税理士法人に任せて頂くことができます。不動産の登記、売却、会社の事業継承など、全て当事務所の遺産相続チームの遺産相続に強い司法書士、不動産業者などで対応できるため、新たに個別に専門家を探したり、依頼の検討、事情の説明、情報の共有という時間・労力・コストを節約することができます。
以上のメリットはあくまでも遺産相続協議を得意としている弁護士にのみ当てはまります。特に遺産相続協議に注力している弁護士でない場合はこの限りではありません。
遺産分割協議を弁護士に依頼するデメリットは費用?
弁護士は費用が高いから依頼するのを迷ってしまう…というお声も時に耳にしますが、司法書士や行政書士などとは異なり、遺産分割協議の交渉、調停、審判、訴訟などあらゆる場面でサポートが可能であり、サービス内容が充実していることからすれば、費用の面で特段弁護士が高すぎるというわけではありません。
もちろん遺産相続で得た取り分の額よりも弁護士に支払う費用のほうが高くなってしまっては元も子もありません。そのようなことにならないように、事前に得られる遺産の取り分と弁護士費用のバランスを見積もり、ご依頼者様が損をしてしまうことの無いよう計算を入念に行い、事前にお見積もりを提示しております。
弁護士は費用が高いから依頼するのを迷ってしまう…というお声も時に耳にしますが、司法書士や行政書士などとは異なり、遺産分割協議の交渉、調停、審判、訴訟などあらゆる場面で広範囲なサポートが可能であるため、最終的なトータルの費用が司法書士や行政書士よりも高くなる場合があることは確かにあります。ただ、それぞれの士業が同じ様に取り扱える業務の費用に関しては、弁護士も司法書士も行政書士も実は費用にほとんど差はありません。費用の面で特段弁護士が高すぎるというわけではないのです。
(詳しくは→遺産分割の知識 他士業との比較)
もちろん遺産相続で得た取り分の額よりも弁護士に支払う費用のほうが高くなってしまっては元も子もありません。そのようなことにならないように、事前に得られる遺産の取り分と弁護士費用のバランスを見積もり、ご依頼者様が損をしてしまうことの無いよう費用計算は入念に行い、事前にお見積もりを提示させて頂いておりますのでご安心下さい。