故人の遺言書がある場合には、基本的には図のような手順で相続を進めていきます。
遺言がある場合の相続の流れ
- 相続人(法律上遺産を受け取る権利がある人)の範囲(どこまでなのか誰なのか)を確認
戸籍などを取り寄せ、家系図などを作成し、法律に照らし合わせ確認します。 - 遺言書を裁判所で検認する
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、裁判所で遺言の検認を受けなければなりません。 - 遺言書で遺言執行者が選任されている場合
この後、遺言執行者が遺言の内容どおりの相続を進めていきます。
遺言書で遺言執行者が選任されていない場合
裁判所が遺言執行者を選任し、その執行者が遺言通りの相続を進めることになります。 - 遺産の調査
遺言書に記載がない遺産やマイナスの遺産が無いか調査します。 - 遺言書に沿って遺産を分ける
相続手続では、相続人は金融機関や役所等での相続手続をしなければなりません。
相続に関する専門知識がない場合、それらの手続は複雑で簡単ではありません。
また、相続税がかかる場合、相続税の申告も基本的には被相続人の死亡から10か月以内に行わなければいけません。他にもタイムリミットのある手続きが相続分野にはたくさんあります。相続に関してあまり詳しくなかったり、相続人全員と連絡を取ったり様々な手続きの時間を取ったりすることが難しい方も多いでしょう。
当事務所では遺言書の検認はもちろん、お客様の代理となって相続人の調査、遺産の調査を行うこと、各相続人の方と連絡を取ったり、必要に応じて遺産分割案の提案、交渉まで相続に関わる面倒なこと全てお任せ頂くことが可能です。金融機関や役所等の相続手続の代理、不動産の登記、相続税が発生するかどうかの試算、相続税の申告、さらに相続が完了した後のアフターサポートも徹底して行っています。
遺言執行者の代理やサポートも弁護士にお任せ
遺言が作成された場合、遺言執行者が指定されている場合が非常に多いです。
遺言執行者とは、遺言を執行する権限を持っている人のことをいいます。遺言執行者は相続人全員の代理人という扱いで、やむを得ない事由がなければ、他の人にその任務を任せることはできないとされています。
遺言執行者に指定された人は、遺産の管理や、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権限を持つことになります。つまり、遺産の管理や遺言の執行について、重大な責任を負っていることになります。
手間暇もかかる上、人間関係のストレスにもさらされる立場です。
弁護士は、遺言執行者の代理をすることができ、遺言執行を適切に行うためのサポートも行えます。
また、遺言執行者の辞任・解任には、家庭裁判所の許可が必要ですが、このような場合にも、弁護士が代理やサポートを行うことができます。もちろん、弁護士は遺言執行者になることもできます。
遺言はあるが遺言の内容どおりの相続をしたくない場合
1.遺産分割協議をする方法
遺言がある場合、原則として相続人は遺言の内容に従わなければいけません。故人の意思を尊重する必要があるためです。
しかし、遺言の内容が妥当ではないと判断されるような場合、遺言があっても、相続人全員が合意した場合には、遺言とは異なる内容で遺産分割協議をし、相続をすることができます。
このとき、相続人全員の同意が必要であり、一人でも反対する相続人がいる場合、遺産分割協議はできません。
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2.遺言無効の無効を主張する方法
遺言が作成されていても、その故人の真意ではない場合、遺言の無効を主張することができます。例えば、生前故人が相続人の1人から脅されて遺言を書かされた場合や、すでに認知症などで判断能力が無い状態にもかかわらず、誰かに言われるがまま遺言を作成した場合などです。
このような場合、裁判手続で遺言が無効であるかを争うことができます。
自筆証書遺言の場合には、遺言書の筆跡が被相続人の筆跡と異なると主張する、などのやり方があります。公正証書遺言の場合には、法で決められた手続を守って公正証書が作成されたかどうかを争うことができます。
また、故人の遺言書作成時の判断能力(遺言能力)を持っていたかどうかを争うこともできます。
3.遺留分侵害額請求をする方法
本来遺産は故人が譲渡や遺言などの手段などを使うことによって自由に分配できます。
ただ、遺産には遺された遺族の生活を支えるという意味合いもあるため、たとえば故人が特定の相続人にのみ全ての遺産を与えるなどという遺言がなされた場合、他の相続人は遺産の一部について、一定の取り分を主張することができ、そのために行うのが「遺留分侵害額請求」です。
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