コラム「相続した空き家の管理・売却で注意すべきポイントとは?(相続空き家問題・特定空き家・相続放棄などを弁護士が解説)」

【はじめに】

近年、「親が亡くなり実家が空き家になった」「相続した家の管理に困っている」といったご相談が増えています。

空き家は、適切に管理しない場合、

  • 倒壊や火災などの事故

  • 近隣トラブル

  • 固定資産税の増額

  • 行政からの指導や強制解体

などのリスクが生じることがあります。

また、相続人が複数いる場合には、共有関係・管理責任・相続登記・売却方法など、法律的に注意すべき点が多く存在します。

そこで本コラムでは、相続財産に空き家がある場合の管理方法・法的リスク・承継方法について、弁護士がわかりやすく解説します。


1 相続した空き家の管理方法

(1)空き家とは何か

「空家等」とは、居住その他の使用がなされていない状態が常態である建物およびその敷地をいいます(空家等対策の推進に関する特別措置法2条1項)。

一般的には、概ね1年間利用されていない状態が一つの目安とされています。

空き家の所有者又は管理者は、周辺環境に悪影響を与えないよう適切に管理する義務があります(同法5条)。


(2)相続人が複数いる場合の管理

被相続人が死亡した場合、空き家は相続財産となります。

相続人が複数いる場合、遺産分割が完了するまでの間は相続人全員の共有財産となります(民法898条)。

この場合の行為は次のように区分されます。

①保存行為(単独で可能)

各相続人は単独で行うことができます(民法252条)。



・空き家の簡易修繕

・庭木の剪定

・雑草除去

・固定資産税の支払い

・不法占拠者への明渡請求


②管理行為(持分の過半数で決定)



・空き家を誰が使用するかの決定

・軽微な改修


③変更・処分行為(相続人全員の同意)

・空き家の売却

・賃貸

・大規模修繕

・建物の解体


(3)空き家管理の重要性

空き家は人が住まない状態が続くと、急速に劣化します。

また

・放火

・窃盗

・不法侵入

などの犯罪リスクも高まります。

さらに、空き家の管理が不十分で第三者に損害が生じた場合、所有者は工作物責任(民法717条)を負う可能性があります。

そのため

・定期的な見回り

・清掃

・修繕

などを行う必要があります。

遠方に住んでいる場合は、空き家管理業者への委託も検討すべきでしょう。


2 「特定空き家」に指定されるリスク

空き家の中でも、次のような状態にあるものは「特定空家等」に指定される可能性があります。

・倒壊の危険

・衛生上有害

・著しく景観を損なう

・周辺生活環境に悪影響

(空家等対策特別措置法2条2項)

指定されると、自治体から

・助言

・指導

・勧告

・命令

が出されることがあります。

さらに改善されない場合には

・過料

・行政代執行(強制解体)

が行われる可能性があります。

解体費用は所有者負担となるため注意が必要です。

また勧告を受けると

固定資産税の住宅用地特例が解除される

可能性があり、固定資産税が最大6倍程度に増えるケースもあります。


3 空き家を相続放棄する場合の注意点

空き家の管理負担や費用を考えると、相続放棄を検討するケースもあります。

ただし注意が必要です。

相続放棄をした場合でも、放棄時に空き家を占有している場合には次の管理者へ引き渡すまで保存義務を負います(民法940条)。

つまり

・建物の最低限の管理

・損壊防止

などの義務が残ることがあります。


4 相続人の所在が不明な場合

【不在者財産管理人】

相続人の所在が分からない場合には、家庭裁判所に

不在者財産管理人の選任

を申し立てることができます(民法25条)。

管理人は

・空き家の管理

・裁判所の許可を得た売却

などを行うことができます。


5 相続人がいない場合

【相続財産清算人】

相続人全員が相続放棄した場合やそもそも相続人がいない場合には、家庭裁判所に

相続財産清算人の選任申立て

を行うことができます(民法952条)。

清算人は

・空き家の管理

・売却

・債務整理

などを行い、最終的には財産を国庫に帰属させます。


6 所有者不明建物管理制度

近年の民法改正により

・所有者不明建物管理制度

・管理不全建物管理制度

などが創設されました。

これにより

・所有者不明の空き家

・管理不全の空き家

について、裁判所が管理人を選任し、適切な管理や処分を行うことが可能となっています。


7 空き家の評価

空き家の評価は基本的には通常の不動産評価と同様です。

もっとも

・老朽化

・解体費用

・立地

などにより

実質的に価値がない

と評価される場合もあります。

そのため、相続人間で合意して評価を決めるケースも少なくありません。


8 空き家の相続登記(義務化)

相続により空き家を取得した場合、相続登記が必要です。

2024年4月から相続登記は義務化されています。

期限内に登記しない場合には

過料が科される可能性

があります。


9 空き家売却時の3000万円特別控除

相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと

譲渡所得から最大3000万円の特別控除

を受けることができます。

主な要件

・被相続人が居住していた家屋

・相続開始から3年以内の売却

・耐震基準を満たす(又は解体)

などです(租税特別措置法35条)。

適用期限は令和9年12月31日までです。


【まとめ】相続した空き家は早期対応が重要

相続した空き家は

・管理責任

・固定資産税

・近隣トラブル

・特定空き家指定

など、さまざまなリスクがあります。

そのため早期に

・売却

・解体

・賃貸

・相続放棄

などを検討することが重要です。


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