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コラム「相続した空き家の管理・売却で注意すべきポイントとは?相続空き家問題・特定空き家・相続放棄などを弁護士が解説」
【はじめに】
近年、「親が亡くなり実家が空き家になった」「相続した家の管理に困っている」といったご相談が増えています。
空き家は、適切に管理しない場合、
-
倒壊や火災などの事故
-
近隣トラブル
-
固定資産税の増額
-
行政からの指導や強制解体
などのリスクが生じることがあります。
また、相続人が複数いる場合には、共有関係・管理責任・相続登記・売却方法など、法律的に注意すべき点が多く存在します。
そこで本コラムでは、相続財産に空き家がある場合の管理方法・法的リスク・承継方法について、弁護士がわかりやすく解説します。
1 相続した空き家の管理方法
(1)空き家とは何か
「空家等」とは、居住その他の使用がなされていない状態が常態である建物およびその敷地をいいます(空家等対策の推進に関する特別措置法2条1項)。
一般的には、概ね1年間利用されていない状態が一つの目安とされています。
空き家の所有者又は管理者は、周辺環境に悪影響を与えないよう適切に管理する義務があります(同法5条)。
(2)相続人が複数いる場合の管理
被相続人が死亡した場合、空き家は相続財産となります。
相続人が複数いる場合、遺産分割が完了するまでの間は相続人全員の共有財産となります(民法898条)。
この場合の行為は次のように区分されます。
①保存行為(単独で可能)
各相続人は単独で行うことができます(民法252条)。
例
・空き家の簡易修繕
・庭木の剪定
・雑草除去
・固定資産税の支払い
・不法占拠者への明渡請求
②管理行為(持分の過半数で決定)
例
・空き家を誰が使用するかの決定
・軽微な改修
③変更・処分行為(相続人全員の同意)
例
・空き家の売却
・賃貸
・大規模修繕
・建物の解体
(3)空き家管理の重要性
空き家は人が住まない状態が続くと、急速に劣化します。
また
・放火
・窃盗
・不法侵入
などの犯罪リスクも高まります。
さらに、空き家の管理が不十分で第三者に損害が生じた場合、所有者は工作物責任(民法717条)を負う可能性があります。
そのため
・定期的な見回り
・清掃
・修繕
などを行う必要があります。
遠方に住んでいる場合は、空き家管理業者への委託も検討すべきでしょう。
2 「特定空き家」に指定されるリスク
空き家の中でも、次のような状態にあるものは「特定空家等」に指定される可能性があります。
・倒壊の危険
・衛生上有害
・著しく景観を損なう
・周辺生活環境に悪影響
(空家等対策特別措置法2条2項)
指定されると、自治体から
・助言
・指導
・勧告
・命令
が出されることがあります。
さらに改善されない場合には
・過料
・行政代執行(強制解体)
が行われる可能性があります。
解体費用は所有者負担となるため注意が必要です。
また勧告を受けると
固定資産税の住宅用地特例が解除される
可能性があり、固定資産税が最大6倍程度に増えるケースもあります。
3 空き家を相続放棄する場合の注意点
空き家の管理負担や費用を考えると、相続放棄を検討するケースもあります。
ただし注意が必要です。
相続放棄をした場合でも、放棄時に空き家を占有している場合には次の管理者へ引き渡すまで保存義務を負います(民法940条)。
つまり
・建物の最低限の管理
・損壊防止
などの義務が残ることがあります。
4 相続人の所在が不明な場合
【不在者財産管理人】
相続人の所在が分からない場合には、家庭裁判所に
不在者財産管理人の選任
を申し立てることができます(民法25条)。
管理人は
・空き家の管理
・裁判所の許可を得た売却
などを行うことができます。
5 相続人がいない場合
【相続財産清算人】
相続人全員が相続放棄した場合やそもそも相続人がいない場合には、家庭裁判所に
相続財産清算人の選任申立て
を行うことができます(民法952条)。
清算人は
・空き家の管理
・売却
・債務整理
などを行い、最終的には財産を国庫に帰属させます。
6 所有者不明建物管理制度
近年の民法改正により
・所有者不明建物管理制度
・管理不全建物管理制度
などが創設されました。
これにより
・所有者不明の空き家
・管理不全の空き家
について、裁判所が管理人を選任し、適切な管理や処分を行うことが可能となっています。
7 空き家の評価
空き家の評価は基本的には通常の不動産評価と同様です。
もっとも
・老朽化
・解体費用
・立地
などにより
実質的に価値がない
と評価される場合もあります。
そのため、相続人間で合意して評価を決めるケースも少なくありません。
8 空き家の相続登記(義務化)
相続により空き家を取得した場合、相続登記が必要です。
2024年4月から相続登記は義務化されています。
期限内に登記しない場合には
過料が科される可能性
があります。
9 空き家売却時の3000万円特別控除
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと
譲渡所得から最大3000万円の特別控除
を受けることができます。
主な要件
・被相続人が居住していた家屋
・相続開始から3年以内の売却
・耐震基準を満たす(又は解体)
などです(租税特別措置法35条)。
適用期限は令和9年12月31日までです。
【まとめ】相続した空き家は早期対応が重要
相続した空き家は
・管理責任
・固定資産税
・近隣トラブル
・特定空き家指定
など、さまざまなリスクがあります。
そのため早期に
・売却
・解体
・賃貸
・相続放棄
などを検討することが重要です。
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コラム「【仙台の弁護士が解説】遺言無効の訴えとは?手続・判例・遺留分との関係をわかりやすく解説」
「この遺言書は本当に有効なのか?」
「認知症だった親の遺言を争うことはできるのか?」
「公正証書遺言でも無効になることがあるのか?」
相続の現場では、遺言の有効性をめぐる争い(遺言無効確認訴訟)が少なくありません。
本記事では、
-
遺言が無効になるケース
-
遺言無効確認の訴えの手続
-
被告の選び方
-
立証責任
-
遺留分侵害額請求との関係
について、判例を踏まえて解説します。
仙台・宮城で相続問題にお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。
1 遺言が無効になる場合とは?
(1)遺言は原則として尊重される
遺言は、遺言者の最終意思を尊重する制度です。
有効な遺言があれば、原則としてその内容どおりに遺産は承継されます。
しかし、一定の場合には遺言そのものが無効となります。
(2)方式違反による無効
遺言は「要式行為」です。
法律(民法960条以下)で定められた方式を守らなければなりません。
例えば、自筆証書遺言の場合、
-
全文自書
-
日付の自書
-
氏名の自書
-
押印
が必要です。
これらを欠く場合、遺言は無効となります。
(3)遺言能力の欠如(民法963条)
遺言作成時に遺言能力(事理弁識能力)がなければ、遺言は無効です。
典型例:
-
重度の認知症
-
意識障害
-
精神疾患による判断能力の欠如
もっとも、「認知症=直ちに無効」ではありません。
診断書、カルテ、介護記録、作成経緯などを総合的に判断します。
実務上、最も争いが多いのがこの「遺言能力」の問題です。
(4)その他の無効原因
-
公序良俗違反
-
詐欺・強迫
-
証人の欠格事由
-
受遺者の先死亡
-
民法総則による無効・取消事由
2 遺言無効確認の訴えとは?
遺言の有効性に争いがあり、話し合いで解決できない場合、
最終的には遺言無効確認の訴え(民事訴訟)を提起します。
(1)まずは調停から
いきなり訴訟ではなく、
-
遺言無効確認調停
-
遺産分割調停
から開始することもあります。
しかし、当事者の主張が鋭く対立している場合は、訴訟による解決が必要になります。
(2)誰が原告になれるか?
遺言の無効を主張する者が原告になります。
「すでに生前贈与を受けており、法定相続分がない場合でも訴えられるのか?」
この点について、最高裁(最判昭56年9月11日)は、確認の利益は遺言内容で判断すれば足りるとして、原告適格を認めています。
したがって、生前贈与を受けていても原告になることは可能です。
(3)誰を被告にするべきか?
実務上重要なポイントです。
原則:
-
遺言により利益を受ける受遺者
が被告になります。
最高裁(最判昭56年9月11日)は、単なる相続分指定などの場合は固有必要的共同訴訟にはならない(共同相続人全員を被告とする必要はない)と判示しています。
もっとも、遺産確認を求める場合(最判平成元年3月28日)は、共同相続人全員を当事者とすべきとされています。
遺言内容により判断が分かれるため、専門的検討が不可欠です。
(4)遺言執行者を被告にできるか?
最高裁(最判昭31年9月18日)は、遺言執行者を被告として無効を争うことを認めています。
ただし、既に所有権移転登記がなされている場合は、受遺者を被告とすべきとされています(最判昭51年7月19日)。
(5)立証責任の分配
非常に重要なポイントです。
■ 遺言の方式遵守
→ 遺言が有効と主張する側が立証責任(最判昭62年10月8日)
■ 遺言能力の欠如など
→ 無効を主張する原告側が立証責任
遺言能力の立証では、
-
医療記録
-
介護記録
-
証人尋問
-
作成経緯
などを総合的に主張立証します。
3 遺言無効と遺留分侵害額請求の関係【最重要ポイント】
(1)必ず遺留分請求を並行して検討すべき理由
遺言無効確認訴訟は、長期化することが少なくありません。
しかし、遺留分侵害額請求には、「相続開始および侵害を知った時から1年」という短い消滅時効(民法1048条)があります。
訴訟中に時効が完成してしまうリスクがあるのです。
したがって、
✔ 遺言無効を争う
✔ 同時に遺留分侵害額請求の意思表示を行う
ことが極めて重要です。
実務では、内容証明郵便で通知するのが安全です。
(2)同一訴訟で予備的請求を入れるべきか?
理論上は可能ですが、実務上は推奨されません。
理由:
-
争点が複雑化する
-
訴訟が長期化する
-
裁判所の審理が混乱する
通常は、
① 遺言無効訴訟
② 必要に応じて遺留分訴訟
と段階的に進める方が合理的です。
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コラム「相続税対策|暦年課税制度と配偶者控除特例を活用した生前贈与の実務ポイント」
1 はじめに|「暦年贈与」と「配偶者控除」を正しく使えば相続税は大きく変わる
相続税対策として、生前贈与を検討される方は非常に多くいらっしゃいます。
なかでも代表的な制度が『暦年課税制度(年間110万円の基礎控除)』と、『贈与税の配偶者控除特例(最大2,000万円)』です。
もっとも、
-
贈与の方法を誤ると思わぬ贈与税・相続税が課税される
-
令和6年以降は生前贈与加算が「7年」に延長され、従来の感覚で対策すると失敗する
といった落とし穴も存在します。
本コラムでは、相続税を合法的に抑えるために知っておくべき暦年課税と配偶者控除特例のポイントを、法令・実務の両面から分かりやすく解説します。
2 暦年課税制度とは|毎年110万円まで非課税となる生前贈与
⑴ 暦年課税制度の基本
暦年課税制度とは、『1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与額について、110万円まで非課税(基礎控除)』となる制度です。
この制度を活用し、毎年計画的に贈与を行うことで、
➡ 将来の相続財産を減らし
➡ 結果として相続税の負担を軽減
することが可能です。
⑵ 一般税率と特例税率(直系尊属からの贈与)
暦年贈与の税率には、以下の2種類があります。
-
一般贈与財産:配偶者・兄弟姉妹・子などからの贈与
-
特例贈与財産:直系尊属(父母・祖父母)から、18歳以上の子・孫への贈与
特例贈与財産に該当する場合は、税率が緩和された特例税率が適用されます。
⑶ 暦年贈与の税額計算方法(概要)
贈与税額は、次の計算式で求めます。
贈与税額 =(贈与額 − 基礎控除110万円)× 税率 − 控除額
一般贈与財産と特例贈与財産が混在する場合は、法令に基づき按分計算を行う必要があります(措置法・通達)。
👉 税率表の正確な適用や有利不利の判断は専門的判断が不可欠です。
3 【重要】令和6年改正|生前贈与加算が「3年→7年」に延長
令和6年1月1日以後の贈与から、相続開始前7年以内の贈与が相続税に加算される制度に変更されました。
ただし、
-
延長された4年間分については合計100万円まで非加算
-
贈与の種類によっては加算対象外となる特例も存在
➡ 暦年贈与は「早め」「計画的」がこれまで以上に重要となっています。
4 配偶者控除特例|居住用不動産等の贈与は最大2,000万円まで非課税
⑴ 配偶者控除特例とは
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、
-
居住用不動産
-
居住用不動産を取得するための金銭
を贈与した場合、基礎控除110万円とは別に、最大2,000万円まで贈与税が非課税となる制度です(相続税法21条の6)。
⑵ 適用要件(チェックポイント)
以下すべてを満たす必要があります。
-
婚姻期間20年以上
-
国内の居住用不動産等であること
-
翌年3月15日までに居住・取得
-
過去に同一配偶者から配偶者控除の適用を受けていないこと
➡ 形式的要件を欠くと特例は適用不可となります。
⑶ 相続開始前7年以内でも「持ち戻し不要」
配偶者控除特例を適用した居住用不動産の贈与は、相続開始前7年以内であっても相続税に加算されません。
そのため、
-
相続税対策
-
配偶者の生活保障
の両面から、非常に有効な生前対策といえます。
5 相続開始年の贈与と「特定贈与財産」
相続開始年に行われた贈与は、原則として相続税の課税対象となります。
しかし、
-
婚姻期間20年以上
-
配偶者控除未使用
-
居住用不動産の贈与
という要件を満たす場合、「特定贈与財産」として生前贈与加算の対象外となります。
👉 相続税申告・贈与税申告の双方が必要となるため、専門家の関与が必須です。
6 遺産分割との関係|配偶者への贈与は「特別受益の持ち戻し免除」が推定
民法改正により、婚姻期間20年以上の配偶者に対する居住用不動産の贈与・遺贈は、特別受益の持ち戻し免除の意思表示があったものと推定されます(民法903条4項)。
➡ 相続人間の紛争予防という観点でも重要な制度です。
7 相続税対策は「法務×税務」の同時検討が不可欠
生前贈与や相続税対策は、
-
税務(贈与税・相続税)
-
民法(遺産分割・特別受益)
-
実務(名義・資金管理)
が複雑に絡み合います。
一部だけを見た対策は、後に大きなトラブルを招く可能性があります。
8 【結の杜総合法律事務所の強み】弁護士×税理士によるワンストップ相続対策
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-
相続税対策
-
生前贈与の設計
-
遺産分割・遺留分対応
-
相続税申告
まで、一貫したワンストップ対応が可能です。
東北地区では数少ない体制で、実務に即したご提案を行っています。
9 まずは無料相談をご利用ください
制度を正しく使えば、相続税は大きく変わります。
一方で、誤った判断は税務否認・相続トラブルにつながります。
「この贈与は大丈夫?」
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コラム「遺留分侵害額の算定方法とは? ― 生前贈与・遺言がある場合の具体的な計算と注意点を弁護士が解説 ―」
1 はじめに|「全財産を長男に」という遺言でも、何ももらえないとは限りません
相続において、次のようなご相談は非常に多く寄せられます。
Q
「夫が『全財産を長男に相続させる』という遺言を残して亡くなりました。
相続人である私や二男には、何か請求できる権利はあるのでしょうか。
また、遺留分侵害額はどのように算定するのですか。」
A
遺言によって相続分が指定されていても、一定の相続人には「遺留分」が保障されています。
遺留分侵害額は、
①相続開始時の財産+②一定期間内の生前贈与-③債務
によって算定され、その金額に法定相続分と遺留分割合を乗じて計算します。
本コラムでは、遺留分侵害額の具体的な算定方法について、条文・判例を踏まえながら、実務上問題となりやすいポイントを中心にわかりやすく解説します。
2 遺留分侵害額の基本的な計算式
遺留分を算定するための財産の価額は、次の式で計算します(民法1043条1項)。
遺留分算定の基礎財産
=
① 相続開始時に被相続人が有していた積極財産
+
② 遺留分算定の対象となる生前贈与
-
③ 被相続人の債務(借金・未払金など)
この金額に、
-
各相続人の法定相続分
-
各相続人の遺留分割合
を掛け合わせた額が、具体的な遺留分額となります。
相続や遺言によって取得した財産がこの金額に満たない場合、不足分について遺留分侵害額請求を行うことができます。
※遺留分侵害額の算定時点は相続開始時であり、相続開始後に誰かが債務を弁済していても、原則として算定に影響はありません(最判平成8年11月26日)。
3 「相続開始時に有していた財産」とは何か
ここでいう「財産」とは、被相続人の積極財産を指します。
(1)算入されるもの
-
不動産
-
預貯金
-
株式・投資信託
-
売掛金・貸付金 など
(2)算入されないもの
-
祭祀財産(仏壇・位牌・墓地等)(民法896条・897条)
(3)評価が難しい財産がある場合
条件付き権利や評価困難な権利については、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価によって価格を定めます(民法1043条2項)。
4 生前贈与はどこまで遺留分算定に含まれるのか
生前贈与を自由に認めてしまうと、遺留分制度が形骸化します。一方で、すべてを遡及すると取引の安全が害されます。
そのため、民法は次のようなルールを定めています(民法1044条)。
(1)原則
-
相続開始前1年以内の贈与
→ 原則としてすべて算入 -
1年以上前の贈与
→ 贈与者・受贈者双方が「遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合」のみ算入
(2)相続人への贈与の特則
相続人に対する贈与については、
相続開始前10年間にされた「特別受益」に該当する贈与が算入対象となります(民法1044条3項)。
(3)贈与と同視される行為
-
無償の信託利益の供与
-
共有持分の放棄
-
寄附行為 なども、贈与と同様に扱われます。
5 不相当な対価での売買(実質的な贈与)
時価とかけ離れた価格で行われた有償行為については、
当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合に限り、
贈与とみなされ、遺留分算定の対象となります(民法1045条2項)。
6 贈与の評価時点はいつか
-
相続開始前1年以内の贈与
→ 贈与契約時を基準(通説・裁判例) -
金銭贈与
→ 相続開始時の貨幣価値に換算して評価(最判昭和51年3月18日)
7 控除される「債務」の範囲
遺留分算定において控除される債務には、以下が含まれます。
(1)含まれるもの
-
借金・未払金
-
租税・公租公課
-
罰金などの公法上の債務
(2)含まれないもの
-
相続税
-
遺産管理費用
-
遺言書検認申立費用 など
相続人自身が被相続人に対して有していた債権・債務についても、混同による消滅を前提とせず、相続開始時の客観的財産状態を基準に判断されます(さいたま地裁平成21年5月15日判決)。
8 「全財産を一人に相続させる」遺言がある場合の算定
相続人の一人に全財産を相続させる遺言がある場合でも、他の相続人は遺留分侵害額請求を行うことができます。
この点につき、最高裁平成21年3月24日判決は、
相続債務も含めて指定相続人が承継するのが原則としたうえで、
遺留分侵害額の算定において、
遺留分権利者の法定相続分に相当する債務額を加算することはできない
と明確に判断しています。
9 「遺留分権利者に損害を加えることを知っていた」とは?
贈与当事者に悪意や害意まで必要ではありませんが、
-
贈与財産が残存財産を上回ること
-
将来、財産状況に大きな変動がないこと
などを具体的に認識していたことが必要とされています(大判昭和11年6月17日)。
10 まとめ|遺留分侵害額の算定は専門的判断が不可欠です
遺留分侵害額の算定は、
-
生前贈与の有無・時期
-
不動産や株式の評価
-
債務の取扱い
-
遺言の内容
など、高度な法的判断と実務経験が不可欠です。
少しの評価の違いで、請求できる金額が大きく変わることも珍しくありません。
11 弁護士への相談のご案内
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-
遺留分侵害額請求が可能かどうか
-
おおよその請求額の見通し
-
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コラム「遺言執行者とはどのようなことをするの?|選任が必要なケースと手続を徹底解説」
1 はじめに
「遺言書があるのに遺言執行者の指定がない。相続人は遺言執行者を選任しなければならないのか?」
「家庭裁判所で遺言執行者を選任する場合、どんな手続や書類が必要なのか?」
遺言・相続のご相談では、このような質問を多く頂きます。
この記事では、遺言執行者が必要となるケース、選任手続、就任後の具体的な業務内容まで専門家が分かりやすく解説します。
2 遺言執行者はいつ必要?|選任の要否を分かりやすく解説
遺言書の内容は大きく次の3つに分かれ、内容によって「遺言執行者が必須かどうか」が異なります。
① 遺言執行者だけが執行できる事項(必ず選任が必要)
-
推定相続人の廃除(民893)
-
推定相続人の廃除の取消し(民894②)
-
認知(民781②)
これらは遺言執行者がいなければ法的に効力を実現できない内容のため、遺言執行者の選任が不可欠です。
② 遺言執行者・相続人どちらでも執行できる事項(トラブル防止のため選任が望ましい)
-
遺贈(民964)
-
一般財団法人の設立(一般法人152②)
-
信託の設定(信託3二)
-
生命保険金受取人の変更
相続人間で意見が分かれたり、協力を得にくい場合は、遺言執行者を選任することで手続がスムーズになり、争いの予防につながります。
③ 遺言執行が不要な事項(選任不要)
-
相続分の指定(民902)
-
遺産分割方法の指定(民908)
-
遺産分割の禁止(民908)
-
遺言執行者の指定(民1006①)
-
遺言の撤回 など
上記のように、内容により遺言執行者の必要性は異なります。
遺言の種類・構成を正しく判定することが重要であり、専門家に確認するメリットの大きいポイントです。
3 遺言執行者を家庭裁判所で選任する手続|必要書類・期間の目安
遺言執行者が指定されていない場合や、指定された人が就任できない事情がある場合には、家庭裁判所で選任手続を行います(民1010)。
■ 選任申立てができる人(利害関係人)
-
相続人
-
受遺者
-
遺言者の債権者
-
相続財産管理人
-
相続財産清算人 など
■ 管轄の家庭裁判所
被相続人の最後の住所地の家庭裁判所(家事209①)。
■ 必要書類(標準的なもの)
-
被相続人の戸籍(除籍・改製原戸籍)
-
遺言書(写しまたは検認調書謄本)
-
遺言執行者候補者の住民票等
-
利害関係を証する資料(戸籍等)
※遺言書が検認済の場合、家庭裁判所に記録が残っていれば一部省略が可能。
■ どんな場合に裁判所は選任する?
-
遺言内容に「遺言執行者必須事項」が含まれる
-
相続人間の対立があり、遺言の内容が実現できない
-
相続人の協力が得られない
-
相続財産が多岐にわたり管理が複雑
遺贈が絡む案件や相続人が複数いるケースでは、家庭裁判所での選任は非常に一般的です。
4 遺言執行者の具体的な業務内容(時系列で理解)
遺言執行者は、遺言内容を実現するために幅広い権限と義務を持ちます(民1012)。
(1)遺言書の検認手続(必要な場合)
自筆証書遺言の場合、家庭裁判所で「検認」を行います(民1004)。
検認前に開封してしまうと過料の対象となるため注意が必要です。
※公正証書遺言・法務局保管の自筆証書遺言は検認不要。
(2)遺言書の正本・謄本の取得(公正証書遺言の場合)
相続手続で必要となるため、公証役場で請求して取得します。
(3)遺言書情報証明書の取得(自筆証書遺言・法務局保管)
(4)遺言の有効性の確認(方式・遺言能力・内容)
方式違背や遺言能力の欠如が疑われる場合、無効確認訴訟が検討されます。
(5)相続人・受遺者の調査・通知(民1007)
出生から死亡までの戸籍を取り寄せて相続人を確定し、遺言内容を通知します。
受遺者に対しては遺贈の受諾の意思確認も必要です。
(6)財産目録の作成・交付(民1011)
不動産・預貯金・株式・保険等を調査し、相続財産を目録にまとめ相続人へ交付。
(7)遺言の実現(執行)
-
不動産の名義変更
-
銀行口座の払い戻し
-
遺贈財産の引渡し
-
廃除手続 等
遺言執行者は「善良な管理者の注意義務」を負いながら業務を行います。
(8)遺言執行終了の通知
執行が完了したら相続人等に終了を通知します(民1020)。
(9)報酬・費用の精算
遺言に記載がある場合はその通り。
ない場合は相続人との協議、合意できなければ家庭裁判所が決定します。
5 まとめ|遺言執行者の選任は専門家に相談することで安心・確実に進められます
遺言執行者は、
-
遺言書の確認
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相続人の調査
-
名義変更
-
遺贈手続
-
財産管理
など、法律知識と実務経験が必要な場面が多く、専門性の高い業務です。
特に、
-
相続人間の対立がある
-
不動産・預貯金・株式等の財産が複雑
-
遺贈がある
-
廃除や認知など法律行為を含む
といったケースでは、専門家が遺言執行者になることでスムーズに手続が進みます。
6 当事務所が選ばれる理由|弁護士×税理士によるワンストップ相続サービス
弁護士法人結の杜総合法律事務所では、
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-
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コラム「遺言の撤回・取消しはできるのか?|仙台・宮城の弁護士が詳しく解説」
1 はじめに:遺言は一度作成したら変更できないのか?
「一度作った遺言は、もう二度と取り消せないのでは?」
「公正証書遺言を破り捨てたら撤回になるの?」
このような疑問を持つ方は多くいらっしゃいます。
しかし、遺言は遺言者の最終意思を尊重する制度であり、生前であればいつでも撤回・変更することが可能です。
ただし、撤回や取消しには一定の法的要件や注意点があります。
今回は、仙台・宮城エリアで多数の相続案件を扱う結の杜総合法律事務所が、遺言の撤回・取消しについてわかりやすく解説します。
2 遺言の撤回はいつでも可能(民法1022条)
遺言は、遺言者が亡くなって初めて効力を発生します。
したがって、遺言者は生前であればいつでも自由に撤回・変更が可能です(民法1022条)。
この「撤回」は、遺言の効力が発生する前に、遺言内容を無効にする手続きを指します。
つまり、「新しい遺言を書いて古い内容を取り消す」などの方法で行うことができます。
3 遺言書を破棄した場合の扱い(法定撤回)
遺言の撤回は通常、遺言の方式に従って行いますが、民法は例外的に「法定撤回」として、以下のような場合には自動的に撤回されたものとみなすと定めています。
(1)法定撤回の主なパターン
-
後の遺言が前の遺言と抵触するとき(民法1023条1項)
-
遺言後に、内容と抵触する生前処分を行ったとき(民法1023条2項)
-
遺言者が故意に遺言書を破棄したとき(民法1024条前段)
-
遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したとき(民法1024条後段)
(2)「破棄」とはどんな行為か
破棄とは、遺言書を焼却・切断・判読不能にするような物理的行為を指します。
ただし、文字が多少残っていても、「全体に赤線を引く」など内容を完全に無効化する意思が明確な場合は撤回とみなされます(最高裁平成27年11月20日判決)。
(3)撤回が成立するための条件
破棄による撤回が成立するには、遺言者の故意(撤回の意思)が必要です。
他人が誤って破棄した場合や、偶然破損しただけでは撤回にはなりません。
4 公正証書遺言を破棄した場合は撤回になるのか?
公正証書遺言の原本は公証役場に保管され、遺言者が破棄することはできません。
では、遺言者が手元の正本(写し)を破棄した場合に撤回とみなされるのかが問題になります。
この点について判例はありませんが、通説では次のように解されています。
-
原本は公証役場にあるため、正本を破棄しても遺言の撤回とはならない。
-
一方で、「正本を破棄する行為をもって撤回の意思表示とみなすべき」とする学説も存在。
したがって、公正証書遺言を撤回したい場合は、必ず新たな遺言を作成することが安全です。
5 錯誤・詐欺・強迫による遺言の取消し
(1)取消しが認められる場合
遺言も法律行為の一種です。
そのため、錯誤(思い違い)・詐欺・脅迫によって作成された遺言は、民法95条・96条により取り消すことができます。
取消しが認められると、遺言は遡って無効となります(民法121条)。
(2)取消権を行使できる人
-
遺言者本人(生前に意思能力がある場合)※ただし、否定説もあり。
-
相続人(遺言者死亡後に取消権を相続)
ただし、詐欺や脅迫を行った相続人は民法891条4号の相続欠格事由に該当するため、取消権を行使することはできません。
(3)取消しの方法
取消しの手続は特に定められていませんが、実務上は次のような方法が考えられます。
-
他の相続人が連名で、錯誤・詐欺・強迫により無効である旨を通知
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「遺言無効確認の訴え」を家庭裁判所に提起する(最判昭47・2・15)
6 まとめ:遺言の撤回・取消しは専門家への相談が重要
遺言の撤回や取消しは、法的要件や証拠関係が複雑で、相続トラブルに発展するリスクが非常に高い分野です。
特に、公正証書遺言や錯誤・詐欺・強迫が関係する場合には、早期に弁護士へ相談することが重要です。
7 結の杜総合法律事務所のご案内(仙台・宮城の遺言・相続専門チーム)
結の杜総合法律事務所は、税理士法人を併設し、弁護士・税理士である髙橋和聖が代表を務めています。
東北エリアで、弁護士法人と税理士法人を一体運営している事務所はほとんどなく、
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ご相談いただける内容
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遺言書の作成・撤回・取消し
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公正証書遺言の手続サポート
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相続放棄・遺産分割協議・遺留分請求
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コラム「遺産分割前に被相続人名義の預金を引き出すことはできる?弁護士が解説」
1 はじめに
「父が亡くなり、葬儀費用がすぐに必要ですが、遺産分割の話し合いはまだできていません。父名義の預金を引き出して支払うことは可能でしょうか。」
このようなご相談は非常に多く寄せられます。実際、相続開始後は預金口座が凍結されるため、自由に払戻しを受けられないケースが多くあります。では、遺産分割前でも預金の払戻しはできるのか、最新の法律と実務をもとに解説します。
2 相続が開始すると口座は凍結される
被相続人が死亡すると、銀行などの金融機関はその事実を確認した時点で預金口座を凍結します。これにより、預金の引き出しや口座振替は停止され、原則として相続人全員の同意や遺産分割協議が整うまで払戻しはできません。
3 過去の取り扱いと最高裁の判断
かつては、預金を「可分債権」と考え、一部の相続人が自分の法定相続分を単独で引き出せるとする見解もありました。しかし実務は統一されず、銀行ごとに対応が異なっていました。
この点について、平成28年12月19日最高裁決定は「預貯金は遺産分割の対象であり、相続開始と同時に分割されるものではない」と判示しました。これにより、遺産分割前に相続人が単独で預金を引き出すことは原則できなくなりました。
4 法律改正による新しい払戻制度
その後の法改正(令和元年7月1日施行)により、相続人が葬儀費用や生活費に充てるために一定額の払戻しを受けられる制度が導入されました。
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民法909条の2に基づく払戻し
相続人は、各金融機関ごとに「150万円」を上限として、遺産分割前でも単独で払戻し請求が可能です。 -
家庭裁判所による保全処分(仮分割の仮処分)
上限額を超える払戻しが必要な場合は、家庭裁判所に申立てを行うことで、葬儀費用や相続人の生活費等に充てるための預金払戻しが認められる場合があります。
5 実際に引き出せる金額の目安
例えば、被相続人がA銀行に普通預金600万円・定期預金900万円、B銀行に普通預金780万円を残していた場合、法定相続分2分の1の相続人は以下の金額まで払戻しが可能です。
-
A銀行:上限150万円
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B銀行:130万円(780万円×1/3×1/2)
つまり合計280万円を遺産分割前に引き出せる計算になります。
6 必要書類と手続き
払戻しを受けるためには、各銀行の「相続届(一部払戻用)」を提出します。併せて、以下の書類が必要となります。
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被相続人の通帳・証書・キャッシュカード
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被相続人の除籍謄本・改製原戸籍等
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相続人全員の戸籍謄本または法定相続情報一覧図
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請求者相続人の印鑑登録証明書
銀行や状況によっては追加書類を求められる場合があります。
7 弁護士に相談すべきケース
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葬儀費用や当面の生活費に充てるため、できるだけ早く預金を引き出したい
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相続人間で意見が合わず、手続きが進まない
-
預金以外に不動産・株式なども含まれており、遺産分割が複雑になりそう
このような場合は、弁護士にご相談いただくことで、最適な手続きの選択肢や金融機関との交渉方法を明確にすることができます。
8 まとめ
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相続開始後、被相続人名義の口座は凍結される。
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遺産分割前でも、法改正により 各金融機関150万円までの払戻し が可能。
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上限額を超える場合は、家庭裁判所の「保全処分」を利用できる。
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手続きには戸籍謄本や相続届など複数の書類が必要。
遺産分割や預金払戻しの問題は、法律と税務の両面の知識が不可欠です。
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コラム「共有不動産の解消方法・地番整備・境界確定を弁護士が解説」
1 はじめに
相続財産の中に共有不動産が含まれる場合、共有状態を放置すると将来的にトラブルが起こりやすくなります。例えば、相続を重ねることで共有者が増え、権利関係が複雑化して譲渡や売却が困難になったり、境界や地番が不明確なままでは遺産分割協議や相続税対策が進めにくくなることがあります。
そのため、不動産を相続した段階で、
-
共有関係の解消
-
地番の整備
-
境界の確定
を行っておくことが、相続・遺産分割をスムーズに進めるための有効な対策となります。
2 共有不動産の法律関係
(1)共有とは
複数人が1つの不動産を一定割合で所有することを「共有」といい、各人の割合を「持分」と呼びます。相続発生後の「遺産共有」もこれに含まれます。
ただし、遺産共有の場合は遺産分割協議または家庭裁判所の審判によって解消されるのが原則です。相続開始から10年が経過しない限り、単純に「共有物分割請求」をすることはできません(民法258条の2)。
(2)共有物の利用・管理・処分
-
各共有者は、自分の持分を自由に処分可能
-
不動産全体の利用や変更は、原則として共有者全員の同意が必要
-
建物の賃貸などの「管理行為」は、持分価格の過半数で決定可能
このように、共有不動産は権利関係が複雑で、協力が得られない共有者がいる場合には解消が進まないケースも少なくありません。
3 共有不動産の解消方法
(1)共有物分割協議
共有者間で合意できれば、以下の方法で分割可能です。
-
現物分割:土地を分筆してそれぞれ単独所有にする
-
代償分割:一人が取得し、他の共有者に代償金を支払う
-
換価分割:売却して代金を分け合う
(2)共有物分割請求訴訟
協議がまとまらない場合、裁判所に「共有物分割請求訴訟」を提起できます。判決により現物分割・代償分割・競売による分割が行われます。
(3)所在不明共有者がいる場合
共有者の中に連絡がつかない人がいる場合には、
-
所在不明共有者の持分取得の裁判
-
持分譲渡権限付与の裁判
を利用して、共有不動産を処理できる制度があります。相続や売却を進める上で有効な手続きです。
4 地番整備・境界確定の手続き
(1)地番の整備
地番は土地ごとに登記所で付される番号で、所有権や分筆登記の基礎となります。整理されていない場合、相続や売却時にトラブルの原因となるため、早めの整備が望ましいです。
(2)境界確定
隣地所有者との境界が不明確な場合には、
-
筆界特定制度(法務局に申請して専門家が調査)
-
境界確定訴訟(裁判所で最終的に確定)
といった手続きを利用して、境界を明確化します。これは将来の土地トラブル予防に直結します。
5 まとめ
-
共有不動産は放置すると相続トラブル・売却困難・税務上の不利益につながる
-
解消方法には「協議」「裁判」「所在不明共有者への対応」など複数の制度がある
-
相続不動産については、地番の整備や境界確定を同時に進めることが重要
6 当事務所へのご相談
弁護士法人結の杜総合法律事務所は、代表弁護士が税理士資格を有し、税理士法人も運営しています。相続・不動産の法律相談だけでなく、相続税・譲渡税など税務面のアドバイスまで一貫してサポート可能です。
さらに、司法書士・土地家屋調査士とも連携しており、
-
共有物分割請求
-
境界確定
-
不動産登記
までワンストップで対応いたします。
「共有不動産を解消したい」「境界を確定したい」「相続トラブルを避けたい」方は、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談では手続きの流れ・費用・解決方針を丁寧にご説明いたします。
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コラム「死因贈与とは?遺言との違いや税金の注意点を弁護士・税理士が解説」
1 はじめに
「親が自筆証書遺言を残していたが、押印がなく無効だといわれた。記載されている内容通りに財産を取得できないのか?」
このようなご相談を受けることがあります。
結論から言うと、押印を欠いた遺言は原則無効です。しかし、場合によっては『死因贈与契約』として有効に扱える可能性があります。
本記事では、死因贈与とは何か、遺言との違い、税金上の注意点について、弁護士かつ税理士がわかりやすく解説します。
2 死因贈与と遺言の関係(法的性質)
民法554条では「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与」=死因贈与と規定されています。
遺贈と似ていますが、厳密には以下の点が異なります。
-
死因贈与は「生前贈与の一種」であり、贈与者の死亡を始期とする期限付贈与と考えられる。
-
遺言は死亡まで効力を発しませんが、死因贈与は契約成立時点で受贈者に「期待権」が生じます。
3 死因贈与と遺言の違い(4つの視点)
(1) 撤回の可否
-
遺言は自由に撤回可能。
-
死因贈与は契約であるため、原則撤回できません。判例(最判昭58・1・24)でも同様の立場がとられています。
(2) 贈与財産の処分
-
遺言:死亡まで効力がない → その間の処分は「撤回」とみなされる。
-
死因贈与:契約成立済み → 抵触する処分は「債務不履行」として扱われる。
(3) 方式
-
遺言:自筆証書、公正証書など厳格な方式が必要。
-
死因贈与:口頭でも契約可能。契約書も全文自筆である必要なし。
(4) 効力と承継
-
死因贈与契約成立時点で受贈者に期待権が発生。
-
贈与者死亡後、受贈者が既に亡くなっていれば、その相続人が権利を引き継げる。
4 死因贈与と税金(相続税・不動産取得税・登録免許税の違い)
(1) 相続税
-
共通点:遺贈も死因贈与も、相続税の課税対象になります。
(2) 不動産取得税
-
遺贈による取得:非課税。
-
死因贈与による取得:課税対象。仙台高裁判例(平成2年12月25日)でも確認されています。
(3) 登録免許税
-
相続人への遺贈:相続と同じ税率(不動産価額の1,000分の4)。
-
死因贈与:相続人であっても高い税率(不動産価額の1,000分の20)が課される。
5 無効な遺言書と死因贈与契約
押印がない、印字が多いなど形式を欠いた遺言書は無効です。
しかし、そこに署名があり、さらに受贈者への口頭申入れと承諾があれば、死因贈与契約が成立したと認められる余地があります。
実務では「遺言が無効=全て諦める」ではなく、死因贈与の可能性を検討することが重要です。
6 まとめ
-
死因贈与は「契約」であり、遺言と異なり撤回が制限され、税金面でも扱いが変わる。
-
相続税は共通だが、不動産取得税や登録免許税では大きな差がある。
-
無効な遺言があっても、死因贈与契約として認められる可能性がある。
7 相続・死因贈与のご相談は結の杜総合法律事務所へ
当事務所は、弁護士法人と税理士法人を併設運営している東北唯一の法律事務所です。
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コラム「【相続対策×生命保険】相続税の節税に効果的な生命保険の活用法を弁護士・税理士が解説!」
1.生命保険は相続対策に有効!その理由とは?
相続税対策として近年注目されているのが、生命保険の活用です。
被相続人(亡くなられた方)が保険料を支払い、相続人を受取人とした場合、生命保険金には一定額の非課税枠が認められ、相続税の節税に大きな効果があります。
ただし、契約者・被保険者・受取人の組み合わせによって課税される税金の種類が異なるため、加入前に正しい設計が必要です。
また、生命保険金は民法上の「相続財産」には含まれませんが、相続税法上は課税対象となるなど、法律上の取り扱いも注意すべき点があります。
※生命保険が遺産分割の対象になるかどうかについては、以下のコラムもご覧ください:
👉 「生命保険金は遺産分割の対象?相続財産に含まれるかを弁護士が解説」
2.【節税効果あり】生命保険の非課税枠とは?
2-1.非課税となる条件と金額
相続人が死亡保険金を受け取る場合、以下の計算式によって算出される金額までは非課税となります:
非課税限度額=500万円 × 法定相続人の数
※相続放棄した人や相続権を失った人はカウントされません。
この非課税枠を超えた部分にのみ相続税が課税されます。保険金の全額が非課税になるケースもあるため、相続税の節税に非常に有効です。
2-2.非課税枠の配分のルール
相続人ごとの非課税適用額は、以下のように按分して計算されます:
2-3.注意点:第三者を受取人にすると非課税にならない
例えば、内縁の妻や公益法人など、法定相続人以外を受取人に指定した場合には、非課税枠は適用されません。さらに、相続税2割加算の対象となることもありますので注意が必要です。
3.生命保険にかかる税金の違いを整理
契約形態によって課される税金は以下のように変わります。
| 保険料負担者 | 被保険者 | 保険金受取人 | 課税される税金 |
|---|---|---|---|
| ① 甲 | 甲 | 乙 | 相続税 |
| ② 乙 | 甲 | 乙 | 所得税(※一時所得) |
| ③ 乙 | 甲 | 丙 | 贈与税 |
| ④ 甲 | 乙 | 丙 | 相続税(契約権) |
-
所得税:保険料を負担した人と受取人が同一の場合。
-
贈与税:保険料負担者・被保険者・受取人がすべて異なる場合。
-
相続税:保険料負担者が亡くなり、その契約権自体が相続された場合など。
4.【事例解説】生命保険による相続税の節税効果とは?
4-1.事例紹介
-
被相続人:父
-
相続人:子5人(法定相続人)
-
財産:保険金3,000万円+自宅5,000万円+その他7,000万円(計1億5,000万円)
※保険加入により預貯金から3,000万円を支出
4-2.保険あり・なしの比較
| 区分 | 相続税額 |
|---|---|
| 保険を活用した場合 | 725万円 |
| 保険を活用しなかった場合 | 1,100万円 |
⇒ 差額:375万円の節税効果!
生命保険を活用することで、現金で相続するよりも非課税枠が適用される分、手元に残る財産が大きくなります。
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相続税の節税プランニング
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保険契約を活用した相続対策
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